古今和歌集成立論・資料編・研究編・4冊/久曾神昇/多くの資料を収集整理し解説を付し独自の見解を加えたものでここに資料的基礎が置かれた

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古今和歌集成立論・資料編・研究編・4冊/久曾神昇/多くの資料を収集整理して解説を付し独自の見解を加えたものでここに資料的基礎が置かれた

古今和歌集成立論：昭和35年 300ページ程度 上中下3冊と研究編の合計4冊 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

久曾神昇《古今和歌集成立論》4冊(1960‐61)は多くの資料を収集，整理して詳細な解説を付し，独自の見解を加えたもので，《古今集》の研究はここに資料的基礎が置かれた。

古今集は、和歌史もしくは日本古典文学の上で、重要な作品であることは言ふまでもない。従ってその諸本も多く伝来され、研究も平安時代から現代に至るまで、多く行はれてゐる。特に中世では、古今集は歌の最高の規準として重んじられ、その研究も盛んに行はれたが、歌の家を継承させるために、古今伝授の如き特殊な形で相伝された点もある。近世以降は、万葉集にその位置を譲るやうになったが、それでも古今歌風は、歌の一の流れとしてうけつがれ、古今集の研究ひきつづき行はれた。さうして近代においては、諸本研究にすぐれた成果があげられてをり、それとならんで注釈・批評 も行はれてゐる。
久曾神昇氏は、早くから平安時代和歌の研究に志し、既に多くの業績を有してゐるが、就中、古今集の書誌学的本文批評的研究に渾身の力をそそいである。古今和歌集綜覧は、古今集の主要なる諸本の本文を挙げてあり、校本ともいふべきものであるが、氏はその研究を更に進めて、古今和歌集成立論資料編三冊として世に出された。さうして資料編にもとづいてなされた研究編を完成するに至ったのである。資料編では古今集の諸本の本文をあげるのみでなく、これを成立論の立場から分類されたが、研究編ではその分類の根拠を精細にといてある。全体を古今和歌集の諸本系統論と撰集過程論とにわけて、精緻な考察を行ってみる。その見解については、これから委しく読んで見たいと思ってゐるが、氏の研究の特色は、その資料を豊富に集め、これに精細な書誌学的考察を加へた点にある。氏がこれまでに積み重ねて来た古筆や古典
籍に対する造詣の深さと、その成果の大なることについては、何人もこれを認めてみるであらう。

私は氏のこれまでの業績をたたへ、本書の完成したことを心より喜ぶとともに、今後更に精進をつづけて、その成果をより大きく、確実にされてゆくことを期待する次第である。
昭和三十六年 十月
久松潜一

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